フランベルヌ|吸血鬼のツンデレ少女【御ナラティヴ】
フランベルヌの人生に大きな影響を与えた人物が、麟・カーネーションです。ある日、フランベルヌの住む町に麟・カーネーションが現れます。ちょうどその時、町は百人もの盗賊団に襲撃されていました。しかし麟は、その盗賊団をあっさりと倒してしまいます。圧倒的な強さ、堂々とした立ち振る舞い、そして町を救う姿を見たフランベルヌは、すっかり麟に憧れるようになりました。それ以来、彼女は麟のような存在になりたいと考えるようになります。フランベルヌが強気な態度を取るのも、麟・カーネーションを目指しているからです。
しかしその後、フランベルヌは麟・カーネーションたち勇者がオルカート討伐に向かったまま帰ってこなかったという話を聞きます。麟たちはオルカートの部下をほとんど倒していましたが、肝心のオルカート討伐からは戻りませんでした。フランベルヌは、憧れの麟が討ち死にしたと思い込みます。そして彼女は、麟の敵討ちをするために実家を出る決意をします。
フランベルヌはオルカートの一族ではありますが、オルカート本人を尊敬しているわけではありません。むしろ、彼女はオルカートを強く嫌っています。オルカートの家には四つの家があり、オルカートが当主であるクーデリア家、次男のデレデリア家、三男のヤンデリア家、四男のツァンデリア家が存在します。フランベルヌの実家であるツァンデリア家は、オルカートの四番目の弟が分家して作った家です。つまりフランベルヌにとって、オルカートは一族の近い場所にいる存在でした。
とはいえ、ツァンデリア家とオルカートの関係は良好とは言えません。オルカートは弟たちとは疎遠であり、フランベルヌの家でオルカートの話題が出ることもほとんどありませんでした。デレデリア家、ヤンデリア家、ツァンデリア家は静かに交流を続けていましたが、オルカートとは音信を絶っていました。なお、オルカートの妻と息子もクーデリア家を出て、遠く離れた場所で暮らしています。
それでも、吸血鬼社会の社交場では、フランベルヌがオルカートと顔を合わせることがありました。祖父に連れられて社交場へ出たフランベルヌは、何度かオルカートと会話をしています。しかし彼女は、そのたびにオルカートへ薄気味悪さを感じていました。さらに、オルカートとの対面を終えた後の祖父が、どこか疲れたような表情をしていたことも印象に残っています。そのためフランベルヌは、一族でありながらもオルカートを生理的に受け付けませんでした。だからこそ、オルカートに立ち向かった麟・カーネーションを、彼女は心から尊敬しているのです。
麟の敵討ちを決意したフランベルヌは、オルカートを目指して旅立ちます。その途中、彼女は大きな森にたどり着きます。しかしそこで数日間迷ってしまい、ようやく森を抜けた時には、自分の知っている世界とは異なる場所へ出ていました。最初は状況を理解できなかったフランベルヌですが、調査を進めるうちに、信じがたい事実を知ります。オルカートはすでにずっと前に倒されており、現在は麟・カーネーションたちがラスボスとして世界を治めているというのです。さらに麟たちは、勇者を育成・管理する勇者局を運営していました。
フランベルヌは、麟に会う為、勇者局へ向かいます。そして勇者局へ入学しますが、彼女はメキメキと頭角を現します。フランベルヌは努力と実力をラスボスから認められて、中級勇者に昇格します。フランベルヌの上司は麟・カーネーションとなりました。この時、フランベルヌは複雑でした。フランベルヌが聞いた情報では、麟・カーネーションは討ち死にしたはずだからです。けれども、麟・カーネーションは元気そのものです。この為、フランベルヌは憧れの麟・カーネーションに近づくことは出来たものの、本当の事を聞けないまま、悩んでいます。
能力面でも、フランベルヌは非常に優秀です。オルカートの一族に連なる吸血鬼だけあって戦闘力は高く、さらに勉学にも励んでいるため、実務能力にも優れています。しかし吸血鬼社会では、オルカートの一族という立場ゆえに、その能力を十分に活かせる場所がありませんでした。吸血鬼社会ではオルカートが全てを決めてしまうため、フランベルヌは次第にその世界へ見切りをつけるようになります。フランベルヌのツンとした態度の奥にあるのは、麟・カーネーションへの憧れへの一途な思いと、自分の力で道を切り開こうとする強い意志なのです。
