勇者局のルールとは何か――自由と禁止事項で成り立つ勇者たちの生活【御ナラティヴ】
勇者には、自由に冒険し、自由に戦い、自由に強くなっていく者という印象があるかもしれません。しかし『御ナラティヴ』における勇者は、決して無秩序な存在ではありません。勇者局に所属する勇者たちは、明確なルールの中で生活し、訓練し、行動しています。これは勇者を縛るためだけの制度ではなく、勇者たちを守り、余計な被害を出さず、勇者という力を社会の中で成立させるための仕組みです。勇者は強くなるほど、周囲に与える影響も大きくなります。だからこそ、勇者局では「何をしてよいか」よりも、「何をしてはいけないか」が重視されています。 例えば、勇者同士の決闘は禁止されています。理由は単純で、勇者同士が私情で争えば、本人たちだけでなく周囲にも被害が出るからです。勝てばよい、強ければよい、という考え方を放置すれば、勇者局はすぐに無法地帯になります。その為、問題を起こした者には反省文や罰則が課され、場合によっては地獄行きや、世界の果てへ飛ばされることもあります。過去に少数ですが、地獄行きや、世界の果てに飛ばされた勇者はいます。 勇者局のルールは、最初から完璧に作られていたわけではありません。過去には、勇者同士の喧嘩、勝手な決闘、授業の妨害、任務の放棄、嘘の申告、施設の破壊、無断外出など、さまざまなトラブルが何度も起こりました。そのたびに、ラスボスたちは「これは禁止」「これをしたら罰則」「この場合は報告義務」といった形で、新しいルールを追加していきました。つまり勇者局のルールは、机上の理想論ではなく、過去の失敗と騒動の積み重ねによって作られたものです。 その結果、勇者局は軍隊のようなネガティブリストで回る組織になっています。ネガティブリストとは、基本的に自由を認めながらも、「これだけはやってはいけない」という禁止事項を明確にしておく考え方です。勇者たちは全員が同じ性格ではありません。真面目な者もいれば、目立ちたがりもいます。熱血漢もいれば、要領のよい者もいます。中には、ルールの隙間を突こうとする者もいます。だからこそ、勇者局では曖昧な善意だけに頼らず、明文化されたルールによって組織を維持しています。 ただし、このルールは勇者を苦しめるためのものではありません。むしろ、勇者を死なせず、無駄に傷つけず、社会から孤立させない為のものです。ラスボスたちは勇者の敵であると同時に、勇者を管理し、育て...