2026年6月15日月曜日

オルカート・クーデリアとは? 原初のラスボスと呼ばれた吸血鬼【御ナラティヴ】

オルカート・クーデリアとは? 原初のラスボスと呼ばれた吸血鬼【御ナラティヴ】
オルカート・クーデリアは、一般的には「オルカート」と呼ばれています。通称は「原初のラスボス」です。彼は『御ナラティヴ』の世界において、かつて存在した最強格の吸血鬼です。ただし、現在の本作にオルカート本人は登場しません。また、今後復活する予定もありません。彼はあくまで、現在の世界観やラスボスたちの歴史を説明するうえで重要な過去の人物です。

オルカートは、普通の吸血鬼一家の長男として生まれました。しかし、幼いころから色々なことに疑問を持つ、少し変わった少年でした。彼の両親には、その行動が奇行のように見えたらしく、不気味に感じられていました。オルカートには三人の弟がいましたが、弟たちも成長するにつれて、風変わりな兄から少しずつ距離を取るようになります。ある日、オルカートは突然、実家を飛び出しました。以後、彼は二度と実家に寄りつきませんでした。弟たちは「いつか兄が帰ってくるかもしれない」と考え、自分たちが勝手にクーデリア家を継ぐことを避けました。その結果、次男はデレデリア家、三男はヤンデリア家、四男はツァンデリア家という分家を立てることになります。

オルカート本人は、実家との縁が薄くなったことを特に気にしていませんでした。彼はもともと、家の継承や血筋の名誉に強い関心を持つ人物ではなかったのです。ただし、彼の血統は、本人の息子と弟たちの家系によって後世へと受け継がれていきます。フランベルヌも、この血筋と無関係ではありません。その後、オルカートは吸血鬼には珍しく、自ら修行を始めました。彼は仙人に師事したり、さまざまな知識を取り入れたりしながら、自分の中にある霊力を高めていきます。こうして彼は、やがて「オカルトパワー」と呼ばれる不可思議な力を身につけました。なお、「オルカート」という名前は、「オカルト」という言葉を並べ替えたものです。

オルカートは次第に、単なる強い吸血鬼ではなく、自然現象に近い存在になっていきます。彼の力は理屈だけでは説明できません。剣で斬れば倒せる、魔法を撃てば倒せる、といった相手ではなく、そこにいるだけで世界の法則を歪ませるような存在です。まさに「原初のラスボス」と呼ぶにふさわしい人物でした。とはいえ、オルカートは完全な支配者ではありません。すべての吸血鬼が彼に従っていたわけではなく、両親や弟たちも彼から距離を取っています。このことからも分かるように、オルカートはどれほど強くても、他人の意思そのものを支配することはできませんでした。

一方で、オルカートは自分に敵対する魔物たちを次々と討伐していきました。その圧倒的な力により、魔物たちは彼を「棟梁」として崇めるようになります。こうしてオルカートは、結果的に「ラスボス」として君臨するようになりました。ただし、オルカート本人には「世界を支配したい」「人類を滅ぼしたい」といった明確な野望があったわけではありません。彼にとってラスボスとは、魔物たちをまとめるための役職に近いものでした。つまり、彼は野心家というより、「ラスボス業務」を淡々とこなしていた人物です。

オルカートには、同族の吸血鬼女性である妻がいました。二人の間には子供も生まれており、何もなければ、その息子が後継者になる予定でした。ところが、オルカートがラスボスになった後も、魔物たちは人類を襲い続けます。魔物に家族や仲間を奪われた人々は、オルカートを討伐するために次々と彼の居城へ向かいました。これが、勇者の原型です。勇者たちは何度もオルカートに挑みましたが、そのたびに返り討ちにされました。オルカートの居城には頻繁に討伐者がやって来るため、彼の妻は子供を連れて実家へ避難します。以後、妻子はオルカートのもとへ戻ってきませんでした。

ところが、オルカートはそのことをすっかり忘れてしまいます。なぜなら、彼はラスボス業務で忙しかったからです。このあたりが、オルカートという人物の少しおかしなところです。彼は圧倒的な力を持つ存在でありながら、家庭人としてはかなり抜けています。また、オルカートには致命的な弱点があります。それは、方向音痴であることです。私は、RPGのラスボスがなぜ自分の本拠地から出てこないのかについて、「実は方向音痴なのではないか」という仮説を立てました。オルカートもその例にもれず、外へ出ると道に迷います。そのため、彼は本拠地に引きこもり、やって来る勇者を待ち構える形になっています。

どれほど強くても、外に出ると迷う。どれほど恐ろしい存在でも、家族のことを忘れる。オルカートは、そうした妙な欠落を持ったラスボスです。なお、オルカートはフランベルヌと何度か対話したことがあります。フランベルヌにとって、オルカートは単なる過去の伝説ではなく、実際に言葉を交わしたことのある存在です。ただし、現在の物語においてオルカートが再び表舞台に出ることはありません。

オルカート・クーデリアは、現在の『御ナラティヴ』には登場しない過去の存在です。しかし、彼がいたからこそ、ラスボスという役職の意味や、勇者という存在の成り立ちが形作られました。彼は世界を支配しようとした悪の王ではありません。魔物たちに担ぎ上げられ、業務としてラスボスをこなしていた、最強にしてどこか抜けた吸血鬼です。それが、原初のラスボス――オルカート・クーデリアです。