この世界における政治家の役割【御ナラティヴ】

この世界における政治家の役割【御ナラティヴ】

麟・カーネーション達は、当初、自分たちで官僚達に細かく指示を出していました。世界中から上がってくる行政問題を一つ一つ精査し、その都度判断を下していたため、彼女達の一日は官僚への指示だけで終わってしまうことも珍しくありませんでした。

しかし、この方法には限界がありました。そこで巫女神霊子は、夫である閻獄帝に相談します。閻獄帝は、自分も全ての仕事を直接見ているわけではなく、優秀な部下に細かい管理を任せ、誰にも判断できない問題だけを自分が精査していると助言しました。この言葉を受けて、麟・カーネーション達も優秀な官僚を選抜し、縦割りの官僚機構を整えていきます。

これにより、彼女達の仕事量は大きく減りました。しかし、今度は別の問題が発生します。各省庁がそれぞれ独自に動き始め、横の連携が取れなくなったのです。例えば、病院に通じる道路を整備しようとした医療関係の部署と、同じ地域で道路工事を進めようとした交通関係の部署が鉢合わせし、現場で混乱が起きるようなことが各地で発生しました。

麟・カーネーションは、各省庁の横の繋がりが必要だと考え、官僚達に定期的な話し合いを命じます。ところが、官僚達は書類作成や実務処理には優れていても、各省庁の利害を調整することは苦手でした。それぞれが自分達の権益を守ろうとし、政治的な妥協ができなかったのです。

そこで誕生したのが、各省庁を横断する連絡係であり、調整役でもある「政治家」です。政治家は選挙によって選ばれ、麟・カーネーション、チョイナ、無理魔理矢、巫女神霊子のいずれかの直属の部下となります。そして、各省庁の意見を調整し、必要な案件を上奏し、行政全体が滞りなく動くようにする役割を担うことになりました。

この世界では、強大な統治者が存在しているため、一見すると政治家は不要に見えるかもしれません。しかし実際には、政治家がいなければ統治者達の仕事量は激増し、各省庁の連携も取れなくなります。官僚が行政実務を担う存在だとすれば、政治家は省庁同士を繋ぎ、利害を調整し、全体を動かす存在です。

つまり、この世界における政治家は、権力を振りかざすための存在ではありません。巨大な行政機構を円滑に動かし、統治者と官僚、そして各省庁の間を繋ぐために必要とされた存在なのです。