この世界の経済・金融・逓信制度について【御ナラティヴ】
今回は、本編世界における経済、金融、銀行、逓信局について述べます。
本編世界は、基本的には資本主義経済です。商才のある者、土地や資本を持つ者、魔法や錬金術の才能を持つ者、大きな商会を作った者は、大きな富を得ることがあります。一方で、能力や環境に恵まれない者が豊かになるのは簡単ではありません。そのため、住人同士の経済格差はかなりあります。
ただし、この世界は完全な弱肉強食ではありません。麟・カーネーションは、過去に平等を重視した政策を試みたことがあります。住民の所得を大きく分配し、格差を小さくしようとしたのです。しかし、分配を重視しすぎると、成長や工夫の意欲が弱まりました。さらに時間が経つと、富は結局、商才や人脈や管理能力を持つ者たちに集まり始めました。
そのため、麟・カーネーションは、経済格差が生まれることを前提にして、資本主義へ戻しました。ただし、平等政策の中で有効だった社会保障制度は手厚く残しています。これにより、格差は存在するものの、住人が最低限生活できる程度には支えられています。
金融が発展した世界
本編世界では金融業が発展しており、投資や融資も盛んです。株式市場や債券市場も存在しています。
ただし、それは現代のような即時取引市場ではありません。大商都の取引所に、商人、銀行家、仲買人、代理人、飛脚、会計士などが集まり、株券、債券、手形、出資証書、倉庫証券などをもとに売買を行います。
遠方の投資家は手紙で注文を出します。急ぎの注文であれば、ドラゴニュート速達を使います。相場は取引所の掲示板や新聞に掲載され、地方には数日遅れで伝わることもあります。
この情報の時間差を利用して利益を得る者もいます。ただし、虚偽の相場情報を流した者は厳しく罰せられます。正確な情報を早く得て取引することと、偽情報を流して市場を混乱させることは、明確に区別されています。
金融が発展しているため、この世界には新興商会も多く存在します。魔道具工房、錬金術研究所、運送会社、鉱山会社、冒険者支援企業、翻訳機関、出版業など、様々な新興商会が生まれています。ただし、その多くは一代限りで終わってしまい、長く続く商会は限られています。
銀行の役割
銀行は、金融の専門機関です。
預金、融資、両替、信用審査、担保評価、手形割引、債券管理、大口送金、商会や工房への出資、投資相談などを扱います。特に、融資は原則として銀行だけが行う業務です。
銀行は、借り手の信用、担保、返済計画、事業内容を審査し、商会、工房、個人、役所などに資金を貸し付けます。逓信局は融資そのものは行いません。逓信局が行うのは、融資申請書の受付、本人確認、書類の配達、銀行への取次ぎです。最終的な融資判断と資金貸付は銀行が行います。
都市部や商業地には、銀行の本店や大きな支店があります。商人、工房、商会、役所、学校、取引所などが多いため、本格的な金融業務が成立しています。
田舎の町や村にも、銀行の小さな支店があります。そこでは、給与受け取り、税金納付、貯蓄、簡単な送金、基本的な金融相談などを扱っています。ただし、山奥、海中、辺境、異種族の集住地など、銀行支店を設置しにくい地域では、逓信局が金融窓口を兼ねています。
逓信局の役割
逓信局は、金融、流通、通信を広範に担う社会基盤です。
手紙、荷物、速達、配達記録、内容証明、重要契約書、金融注文書などを扱います。通常の手紙や荷物は、主にケンタウロスが走って運びます。一方で、速達、配達記録、内容証明、重要契約書、金融注文書などの重要郵便物に限り、ドラゴニュートが空を飛んで運びます。
これにより、遠方の投資家や商人は、逓信局を通じて取引所へ注文書を送り、商会や銀行との契約を行うことができます。
逓信局は、単なる配達機関ではありません。地方や辺境では、役所、労働局、勇者局、銀行などの窓口業務も一部代行しています。住人は逓信局を通じて、行政申請、本人証明、税金納付、社会保障給付、給与受け取り、就職関連書類、冒険者登録書類、融資申請書、送金証書、受取証書、支払証明、取引所への金融注文書などを提出できます。
ただし、逓信局がすべてを判断するわけではありません。専門的な判断が必要な案件は、それぞれ役所、労働局、勇者局、銀行、取引所へ送られます。逓信局は、受付、証明、配達、記録、取次ぎを担当する機関です。
つまり、逓信局は「何でも決める機関」ではなく、「住人と各機関をつなぐ総合窓口」です。
銀行口座を持たない住人
本編世界では、銀行口座を持つ住人も多くいます。都市部では、銀行口座や商会口座が広く使われ、給与、税金、融資、家賃、大口取引などに利用されています。
ただし、すべての住人が現代的な銀行口座を持っているわけではありません。地方や辺境では、逓信局、町役場、商業ギルド、寺院、両替商などが帳簿上の口座や金融窓口を管理している場合もあります。
銀行口座を持っていない者は、逓信局で本人証明書、送金証書、受取証書、支払証明書、逓信為替などを発行してもらいます。そして、税金の納付、給与や社会保障の受け取り、遠方への送金、商取引の支払いなどを行います。
日常生活では、現金も広く使われています。また、農村、山間部、遊牧民の集落、異種族の共同体などでは、現金や物々交換も普通に行われています。逓信局の証書や為替は、税金、給付金、遠方との取引、大口支払い、公式記録が必要な場面で使われます。
つまり、本編世界では制度上は金融化が進んでいますが、住人の日常取引まで完全に貨幣化されているわけではありません。地域によって、銀行口座、逓信局の証書、現金、物々交換が併用されています。
辺境と異種族地域
この制度は、異種族が暮らす地域でも重要です。
たとえば、ドラゴニュートは山脈に集住していることがあります。山奥に銀行支店を置くのは難しいため、そうした地域では山岳逓信局が置かれます。山岳逓信局は、手紙や荷物だけでなく、銀行への融資申請書、役所への税務書類、勇者局への依頼書、商会への契約書などを扱います。
人魚族の場合は、さらに特殊です。人魚族は海中で暮らしているため、地上式の銀行支店をそのまま置くことはできません。そのため、海中逓信局や沿岸逓信局が、海中の住人と地上社会をつなぐ窓口になります。真珠、珊瑚、海産資源の取引証書、地上商会との契約書、社会保障給付、勇者局への海域調査依頼なども、逓信局を通じて扱われます。
このように、都市部では銀行が金融の中心となり、辺境や異種族地域では逓信局が国家制度との接点になります。
中央銀行と麟・カーネーション
中央銀行は、主に通貨の発行と貨幣価値の維持を担う機関です。現代的な万能金融機関というより、通貨発行機関としての性格が強いです。
国債や公債の管理、主要物資の価格監視、金融危機時の救済、市場への大規模介入については、中央銀行だけで判断するのではなく、麟・カーネーションたちが直接管理しています。
行き過ぎたデフレやインフレが発生した場合、中央銀行は通貨発行量の調整を担当します。ただし、実際の経済対策や市場介入の最終判断は、麟・カーネーションたちが行います。
この世界では、中央銀行は専門機関ではありますが、国家全体の経済判断は最終的に麟・カーネーションの統治に属しています。
能力差と社会保障
本編世界は、一見すると実力主義に見えます。しかし、完全な弱肉強食ではありません。
麟・カーネーションたちは、人々には生まれつき、環境、教育、健康、種族特性、才能による能力差があることを認識しています。そのため、能力が低い者に対して過大な結果を要求しません。
「お前たちの出来る範囲で仕事をやれ。ただし、贅沢は言うなよ?」
これが麟・カーネーションの布告です。
この言葉は、弱者を突き放すものではありません。最低限の生活は社会保障で支えます。しかし、ちゃんと暮らせているのに、他人の負担で贅沢まで求めるな、という意味です。
このため、本編世界の住人たちは、能力が低い者を必要以上に追い詰めることを良しとしません。本人に合った仕事を探し、できる範囲で社会に参加することが重視されています。
ただし、働けるのに働かず、他人の負担だけで贅沢を望む者には厳しい目が向けられます。
まとめ
本編世界の経済制度を大まかに整理すると、銀行は金融の専門機関であり、逓信局は金融、流通、通信、行政取次ぎを担う総合窓口です。
都市部では銀行が金融の中心となり、田舎では銀行支店と逓信局が併存します。山奥、海中、辺境、異種族集住地では、逓信局が国家制度との接点になります。
高度な金融取引や融資は銀行が担当し、逓信局は住人と銀行、役所、労働局、勇者局、商会、取引所をつなぐ役割を果たしています。
この世界では、金融制度は発展していますが、現代のような即時取引社会ではありません。手紙、速達、掲示板、新聞、証書、為替、取引所、銀行、逓信局が複雑につながりながら、住人たちの生活と商取引を支えています。
